外国製造業者認定と外国特例承認:海外の医薬品メーカーが日本で承認を得る2つの道

海外の医薬品メーカーが海外で製造した製剤を日本の市場に出すには、医薬品医療機器等法(薬機法)が定める製造所と品目の二つの手続を、順序立てて整理する必要があります。製造所については「外国製造業者認定」、品目については「製造販売承認」です。この記事では、条文と公的資料に基づいて、この二つの関係を整理します。

承認を得る道は大きく二つに分かれます。日本の製造販売業者が自ら承認を申請する道(第14条)と、外国の製造者自身が申請し、日本の製造販売業者を選任して製造販売をさせる道(第19条の2、外国特例承認)です。どちらの道でも、製造所が認定または許可を受けていることと、製造所の製造管理・品質管理が基準に適合していることが、承認の前提になります。

本記事は制度の一般的な解説であり、特定の企業や製品の承認状況を示すものではありません。法令の条文は2026年11月3日時点でe-Gov法令検索に掲載されている内容を確認しています。

二つの手続の全体像

薬機法は、医薬品の製造販売をしようとする者に、品目ごとの厚生労働大臣の承認を求めています(第14条第1項)。承認とは別に、製造所そのものについても許可、認定または登録が必要です。国内の製造所は第13条の製造業許可を受け、外国の製造所は第13条の3の認定を受けます。

つまり、日本で医薬品を流通させるまでには、少なくとも次の三つが揃う必要があります。

  • 品目の製造販売承認(第14条または第19条の2)
  • 製造所の許可・認定・登録(外国の製造所は第13条の3の認定)
  • 製造所の製造管理・品質管理がGMP省令に適合しているかを確認する調査(GMP適合性調査)

承認、認定、GMP適合性調査は別々の手続ですが、承認の審査の中で互いに結びついています。第14条第2項は、製造所が許可・認定・登録を受けていないときと、製造管理・品質管理の方法が基準に適合していると認められないときは、承認を与えないと定めています。

外国製造業者認定(第13条の3)

第13条の3第1項は、外国において日本へ輸出される医薬品を製造しようとする者を「医薬品等外国製造業者」と呼び、厚生労働大臣の認定を受けることができると定めています。条文上は「受けることができる」という書き方ですが、後述するとおり、承認の要件と販売等の禁止の規定によって、実質的には必要な手続になっています。

製造所ごと・区分ごとの認定

認定は、厚生労働省令で定める区分に従い、製造所ごとに与えられます(第13条の3第2項)。医薬品の区分は、施行規則第35条第1項に次のように定められています。

  • 令第80条第2項第3号イ、ハ及びニに規定する医薬品の製造工程の全部または一部を行うもの
  • 放射性医薬品の製造工程の全部または一部を行うもの
  • 無菌医薬品の製造工程の全部または一部を行うもの
  • 上記以外の医薬品の製造工程の全部または一部を行うもの
  • 製造工程のうち包装、表示または保管のみを行うもの

注射剤は無菌医薬品に当たるため、注射剤の製造所は「無菌医薬品の製造工程の全部または一部を行うもの」の区分で認定を受けることになります。製造所が複数ある場合は、製造所ごとに認定が必要です。

申請書類と有効期間

認定の申請は、施行規則第36条により、様式第十八の申請書を提出して行います。申請書には、次の書類を添えます。

  • 製造所の責任者の履歴書
  • 製造品目の一覧表および製造工程に関する書類
  • 製造所の構造設備に関する書類
  • 製造所が存する国に医薬品の製造販売業の許可、製造業の許可、製造販売の承認またはこれに相当する制度がある場合は、当該国の政府機関等が発行する許可証等の写し

認定には有効期間があり、施行令第17条により5年と定められています。5年ごとに更新を受けなければ、期間の経過によって効力を失います(第13条の3第3項で準用する第13条第4項)。

第14条による承認:国内の製造販売業者が申請する道

第14条の承認は、品目ごとに、製造販売をしようとする者が申請します。承認の要件として、第14条第2項第1号は、申請者が第12条第1項の製造販売業許可を受けていることを求めています。したがって、この道で申請者になれるのは、日本の製造販売業許可を持つ事業者です。

外国のメーカーがこの道を進む場合、メーカーは製造者として、日本の製造販売業者が申請する承認申請に必要な品質・製造に関する資料を整え、製造所について外国製造業者認定を受ける、という役割分担になります。申請資料の範囲は第14条第3項に、品質と有効性などに関する資料として定められています。

原薬については、原薬等登録原簿(マスターファイル)に登録されていることを示す書面で、資料の一部に代えることができます(第14条第4項)。この点は、製剤の製造所とは別の原薬メーカーが関わる場合に整理が必要です。

外国特例承認(第19条の2)

第19条の2第1項は、日本へ輸出される医薬品について、外国においてその製造等をする者から申請があったときに、品目ごとに、その者が選任した製造販売業者に製造販売をさせることについての承認を与えることができると定めています。申請者は日本の製造販売業許可を持つ必要がなく、外国の製造者が自ら申請者になれる点が、第14条の道との大きな違いです。

ただし、申請の際に日本の製造販売業者を選任することが条件です。第3項は、承認を受けようとする者は、日本国内で保健衛生上の危害の発生の防止に必要な措置をとらせるため、承認に係る品目の種類に応じた製造販売業の許可を受けている製造販売業者を、承認の申請の際に選任しなければならないと定めています。

承認を受けた者は「外国製造医薬品等特例承認取得者」と呼ばれ、選任された製造販売業者は、第14条第1項の規定にかかわらず、当該品目の製造販売をすることができます(第4項)。第5項により、第14条第2項(第1号を除く)および第3項から第15項までが準用されるため、製造所の認定要件、品質・有効性などの審査、GMP適合性調査の規定は、この道でも同じように適用されます。

選任製造販売業者の位置づけ

選任製造販売業者は、外国特例承認取得者に代わって、日本国内で保健衛生上の危害の発生の防止に必要な措置をとる役割を担います。条文が定めているのはこの目的と、許可を受けた製造販売業者であることという条件であり、具体的な業務の範囲は、製造販売業者としての法令上の義務(品質管理、製造販売後の管理など)と、外国特例承認取得者との取決めによって定まります。

そのため、外国メーカーが選任の相手を探す際は、製造販売業許可の種類が対象品目に対応していること、承認後の変更や回収などの場面で情報が迅速にやり取りできる体制であることを、あらかじめ文書で確認しておくことが重要になります。

GMP適合性調査との関係

第14条第2項第4号と第6項により、政令で定める医薬品については、製造所における製造管理・品質管理の方法が基準に適合しているかどうかを、承認を受けようとするとき、および承認の取得後、政令で定める期間を経過するごとに、調査によって確認します。施行令第21条は、この期間を5年と定めています。

医薬品医療機器総合機構(PMDA)の公開資料によると、外国製造業者に対するGMP適合性調査の申請は、製造販売承認を申請する製造販売業者、外国特例承認取得者、または外国特例承認を取得しようとする者がPMDAに対して行います。外国特例承認を取得しようとする者が申請する場合は、製造販売業者の選任が必要です。

調査は実地調査が基本ですが、製品のリスク、当該国のGMP基準とその運用、提出された資料によるGMP遵守状況などをPMDAが判断し、書面による調査が行われることもあるとされています。申請書および添付資料は、外国の製造所に係る申請であっても、原則として日本語で作成する必要があります。調査の詳細は、別の記事「GMP適合性調査とPIC/S GMP Annex 1」で整理しています。

認定を受けていない製造所の医薬品(第55条第2項)

第55条第2項は、第13条の3第1項の認定を受けていない製造所(外国にある製造所に限る)において製造された医薬品について、販売し、授与し、または販売もしくは授与の目的で貯蔵し、もしくは陳列してはならないと定めています。第14条第1項の承認に違反して製造販売された医薬品も同様です。

この規定は、外国製造業者認定が形式上は「受けることができる」ものでありながら、日本で医薬品を流通させる前提として実質的に欠かせないことを示しています。承認と認定のどちらか一方が欠けても、その医薬品は日本で販売や授与の対象にできません。

二つの道の違い

条文の構造を、主な項目ごとに整理すると次のようになります。

第14条の承認と第19条の2の外国特例承認の違い
項目第14条(国内の製造販売業者が申請)第19条の2(外国特例承認)
承認の申請者製造販売業許可(第12条第1項)を受けた者(第14条第2項第1号)外国においてその製造等をする者(第19条の2第1項)
製造販売業許可申請者に必要申請者には不要。選任する製造販売業者に必要(第3項)
製造販売をする者承認を受けた製造販売業者選任製造販売業者(第4項)
製造所の要件許可・認定・登録(第14条第2項第2号)同左(第5項で準用)
GMP適合性調査承認時と、取得後5年ごと(第14条第6項、施行令第21条)同左(第5項で準用)
承認の単位品目ごと品目ごと

どちらの道を選ぶかは、申請資料の作成体制、日本国内での品質管理・製造販売後の管理の体制、承認後の変更手続を誰が担うかによって、事業者ごとに異なります。条文は両方の道を認めており、一方が他方より優先されるわけではありません。

外国の製造所が整理しておく項目

公開されている手続から、外国の製造所が準備の段階で整理しておくべき項目を挙げると、次のとおりです。

  • 認定の区分(注射剤であれば無菌医薬品)と、対象となる製造所の範囲
  • 施行規則第36条に定める添付書類(責任者の履歴書、製造品目一覧、製造工程の書類、構造設備の書類、当該国の許可証等の写し)
  • 製造所の製造管理・品質管理に関する文書(GMP省令の各条に対応する手順書、バリデーションの記録、変更管理・逸脱管理の記録など)
  • 他国の規制当局による調査の記録(PMDAの資料では、申請日から過去2年間に他の調査権者が実施した調査結果の写しの提出が求められています)
  • 原薬の供給者と、原薬等登録原簿の利用の有無
  • 日本語による申請書類の作成体制

これらは、個別の申請に適用される要件を網羅したものではありません。実際の申請では、PMDAが公表している最新の様式と提出資料の一覧を確認する必要があります。

よくあるご質問

外国製造業者認定は、必ず取得しなければなりませんか。

第13条の3第1項は「認定を受けることができる」と定めています。ただし、第14条第2項第2号により、認定等を受けていない製造所の医薬品には承認が与えられず、第55条第2項により、認定を受けていない外国の製造所で製造された医薬品は販売や授与ができません。実質的には、日本で医薬品を流通させるための前提となります。

認定は企業単位ですか、製造所単位ですか。

製造所単位です。第13条の3第2項は、認定を厚生労働省令で定める区分に従い、製造所ごとに与えると定めています。有効期間は施行令第17条により5年で、更新が必要です。

外国特例承認では、外国メーカーに日本の製造販売業許可は必要ですか。

申請者である外国の製造者に日本の製造販売業許可は必要ありません。第19条の2第5項は第14条第2項第1号(製造販売業許可を受けていること)を準用の対象から除いています。一方、第3項により、申請の際に、製造販売業許可を受けた製造販売業者を選任しなければなりません。

GMP適合性調査は誰が申請しますか。

PMDAの公開資料では、製造販売承認を申請する製造販売業者、外国特例承認取得者、または外国特例承認を取得しようとする者が、PMDAに対して申請するとされています。取得後は5年ごとに定期の調査があります。

外国製造業者認定と外国特例承認は、製造所と品目という別の単位の手続ですが、製造管理・品質管理の確認を通じて一つの流れにつながっています。どちらの道でも、製造所の記録と文書の整備が、手続全体の土台になります。

参考資料

  1. 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第13条の3、第14条、第19条の2、第55条。e-Gov法令検索(2026年11月3日確認)。リンク
  2. 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令 第17条、第20条、第21条。e-Gov法令検索(2026年11月3日確認)。リンク
  3. 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則 第35条、第36条。e-Gov法令検索(2026年11月3日確認)。リンク
  4. 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)、医薬品及び医薬部外品外国製造業者に対するGMP適合性調査について(医薬品等外国製造業者向け説明)(2023年9月26日)。リンク
  5. 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)、GMP/QMS/GCTP適合性調査業務。リンク
  6. 医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(平成16年厚生労働省令第179号)。e-Gov法令検索(2026年11月3日確認)。リンク